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紫のヴィンテージ風ギターとアメリカから日本への配送を遮るゲートを描いたイラスト

Epiphone Coronet '66が欲しいのに日本で買えない

Kojiro Tanaka

Epiphone Coronet ‘66のHeather Polyが欲しい。

しかし、Gibson公式のExclusiveモデルとしてアメリカで販売されており、日本への配送には対応していない。国内の楽器店も探してみたが、少なくとも正規流通品や国内在庫は見つからない。

買いたいのに買うところがない。

Epiphone Coronet ‘66

Coronetは1958年に登場したEpiphoneオリジナルのソリッドギターで、今回のモデルは1960年代中頃の仕様を再現したリイシューになる。

初期のCoronetにはいくつかの変遷がある。1958〜1959年頃のモデルは厚いスラブボディと3対3のヘッドストックを持ち、1960年頃にはボディが薄く丸みを帯びた形へ変更。さらに1963年頃、長い上側ホーンと短い下側ホーンを持つ非対称ボディ、6連のBatwingヘッドストックへと大きく姿を変えた。

「‘66」はUSA製Coronetの最終年という意味ではない。Kalamazoo製のCoronetは同系統の姿で1969〜1970年頃まで作られたとされる。ただ、1966年型は初期USA製Coronetにおける後期の完成形であり、今回のリイシューはそこを切り取ったモデルと考えるのがよさそうだ。

1970年にはEpiphoneのアメリカ生産が終了し、日本の松本へ移管された。初期の日本製Epiphoneはマツモクがすでに製造していた設計をEpiphoneブランドで展開したもので、Coronetがそのまま日本生産へ引き継がれたわけではない。よく似た輪郭を持つETシリーズなどは登場するものの、ここで初期USA製Coronetの系譜はいったん途切れる。

Coronetはその後も何度か復刻されている。現在は1958年頃の初期型をもとにしたUSA Collection版があり、アジア生産でも1960〜1962年頃の丸みを帯びたモデルや、Coronetの名前を使いながら仕様を変えたモデルが作られてきた。

Batwingヘッド自体は、1990年代の韓国製Coronet Reissue初期型にも採用例がある。ただし、ハムバッカーとシングルコイルの組み合わせやブロックインレイなど、オリジナルとはかなり異なる仕様だった。2012年にも「1964 Coronet」とされる広報素材の痕跡は残っているが、実際に市販された形跡は確認できない。

そのため今回のCoronet ‘66は、P-90一発、非対称ボディ、Butterflyピックガード、6連Batwingヘッドという後期Kalamazoo仕様を正面から再現した量産リイシューとしては、おそらく初めてになる。この形のCoronetを待っていた人にとっては、単なる新色以上の復刻である。

私も例に漏れず、1964年製のBatwing Coronetを持っていたことがある。

ただし、長年の使用による劣化に加え、度重なるすり合わせでフレットにも余裕がなかった。そして当時の自分の感覚や演奏スタイルには、テイルピース一体型ブリッジとTremotoneの組み合わせがどうしても合わなかった。ピッチは合わない。アーミングするとブリッジがずれる。見た目は最高なのに、その個体を弾くたびに気になった。

結局、そのヴィンテージCoronetはヤフオクへ二束三文で放流してしまった。今思えば、直して持っておけばよかった気もする。しかし当時は、扱いにくい古いギターを維持するより、普通に弾けるギターのほうが重要だった。

別にTremotoneそのものが嫌いなわけではない。今ならTremotone付きでも構わないと思う。ただ、今回のモデルがLightning Barのラップアラウンドブリッジを備えているのは、過去に手放した一本の見た目を、今度はもう少し気軽に弾ける仕様で買い直すようで面白い。

そもそもCoronetはStudentモデルである。歴史的な価値はともかく、実用品として考えれば、丁寧に作られたUSA製である必要もない。気兼ねなく弾けて、ピッチが合い、ブリッジがずれず、あの形をしていればよい。

公式価格は529ドル。主な仕様は以下。

要するに、バットウイングヘッドのダブルカッタウェイ版Les Paul Juniorのようなギターである。P-90一発、ラップアラウンド、セットネックという必要最低限の構成がよい。

そしてHeather Polyの色がよい。

Exclusiveなので日本で買えない

商品名には明確に「Exclusive」と入っている。Gibson公式の商品ページも、100ドル以上の注文はアメリカ国内の陸送が無料と案内しており、日本への直送を選べない。

通常のEpiphone製品なら国内代理店経由で楽器店に並ぶが、このモデルは検索した範囲では国内在庫を確認できなかった。海外限定カラーだけ後から日本へ入ってくる可能性もあるが、現時点では待っていれば買えるという保証もない。

こうした海外限定品を国内の楽器店がどう仕入れているのか気になり、ギタープ◯ネット様にもメールで問い合わせてみた。めちゃくちゃ丁寧に「入荷予定はない」と返答をいただいた。当たり前である。

どうやって日本へ持ってくるか

考えられるのは以下。

ただし、本体価格529ドルにアメリカ国内送料、転送手数料、国際送料、消費税などが乗る。Epiphoneの手頃なリイシューを買うはずが、輸送費込みでは気軽に買える価格ではなくなる可能性がある。

輸送中の破損、初期不良、ネックやフレットの状態、保証の扱いも面倒である。ギターは「転送サービスで箱を一個送れば終わり」とも言い切れない。

パーツ抜きの新古品がeBayに流れている

なぜかeBayには、Coronet ‘66からパーツを抜いたような個体も流れている。

このInverness Greenの個体は283ドル、29入札で落札されていた。出品者は、修理する時間のない在庫を処分している業者。メーカーとの取り決めによってヘッドにはUSEDと刻印されているが、状態のよい個体も含まれるという。

送料や税金を含めても5万円前後なら、完成品を無理に転送するより、こうした素体から再構築するのも趣があるかもしれない。

CoronetはもともとP-90一発、1ボリューム、1トーン、ラップアラウンドブリッジというパーツ数の少ないギターである。欠品内容にもよるが、好きなP-90、ポット、コンデンサ、ブリッジ、ペグを選んでも構成は複雑にならない。

新品を買えないから仕方なく直すというより、最初から自分のCoronetとして組み上げる。個人輸入、メーカー保証なし、USED刻印というデメリットも、素材として買うなら気になりにくい。

問題は、欲しいHeather Polyが同じ形で出てくるとは限らないこと。そして安い素体を見つけても、パーツを選び始めると結局高くなることである。

欲しいけど、そこまでして買うのか

Coronet ‘66自体は、マホガニーのセットネックにP-90一発という単純なギターである。似た構成のギターは日本でも買える。

それでもCoronetの非対称ボディ、Batwingヘッド、Butterflyピックガード、Heather Polyの組み合わせは代わりがない。

アメリカでは529ドルで普通に買えるのに、日本からは購入ボタンを押すことすらできない。この微妙な距離が一番よくない。手に入らないと分かると余計に欲しくなる。

国内販売を待つか、完成品を転送するか、パーツ抜きの素体から作るか。だんだん最後の案が面白く見えてきた。

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